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考える言葉

継続軸

2013年07月23日

 今回のIG後継者育成塾(第3期⑥)でお招きした講師は、坂本光司教授。

 ビジネス書で50万部を超えるベストセラーとなった『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズの著者で、多忙を承知で登壇をお願いしたが、熱のこもった3時間半で、塾生も堪能したと思う。

 今回、教授が「後継者へのメッセージ」として最も訴えたかったのは、「ブレない人本じんぽん経営」...、「人を大切にする会社には、働くことの幸せと感動が溢れている。社員満足のあくなき追求こそが企業の持続的な成長の源泉である」ということ。

 企業の継続に、人本経営がいかに重要であるかについて、最近の取材で得た感動的なエピソードを紹介しつつ、含蓄のある言葉を織り交ぜながらの諸々の話は、なかなかの迫力だった。

 その中の一つ、「業績軸ではなく"継続軸"」について考えてみたい。

 "継続軸"...。ゴーイングコンサーン(継続企業)という言葉があるが、自らの率いる企業の存続と発展への経営者の社会的な責任には、重いものがある。

 しかし、多くの経営者には業績軸の人が多いという。つまり、業績を重視するあまりに社員や下請け企業へプレッシャーをかける。または、業績を高めるために流行や景気といった変化しやすいものに心を奪われて右往左往してしまう。それでは、継続に必要な基盤はいつまでたってもできないだろう。

 "継続軸"で考えるとき、経営者の最大の仕事は3つであり、そのためにこそ存在意義があるという。

 ① 社員を中心として、企業にかかわりのあるすべての人々を幸せにするため、

  進むべき方向を全社員に明示すること。

 ② 全社員が目標に向かって主体的努力を行なえるような、よい職場環境を整備、

  充実すること。

 ③ 後継者を発掘し、育てること。 

 そして、未来経費(人材の確保や育成、社員のモチベーションを高める組織風土づくり、イノベーション等の経費)は、決してケチってはならない。そのリスクを背負う力を増大させるためにも、強い財務の体質をつくる必要がある。その指標として、自己資本比率を高めていく努力を怠ってはならないのである。

 その他、「価格競争をしない」、「ある特定の企業・商品に過度に依存しない」、「徳のない企業とは取引しない」、「製販一体経営」、「急成長をしない」、「価値提案型企業」など...。示唆に富んだ内容であった。

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