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考える言葉

B/S

2014年02月05日

 「"B/S"と現場を見れば、赤字の原因が分かる・・・」という言葉は、前回ご紹介した澤田秀雄氏(HIS会長)の講演での話であるが、その通りである。
 "B/S"とは、バランスシート(Balance sheet)の略称で、決算書の一つである。よく、「P/Lは何とか読めるが、"B/S"はねぇ・・・」と苦手意識をもっておられる経営者の方が多いようだ。
 私たちは、その会社が儲かっているのかどうかを判断するときはP/Lをみる。そして、つぶれる心配がないかどうかは"B/S"をみて判断する。
 つまり、P/Lは一年間でどれだけ儲かったのか、損したのかを具体的な数字で示したものである。そして、"B/S"は一定時点における財産の状態を示したものであり、その会社がどのようにして資金を調達し、運用しているかが分かる。
 「B/Sをみれば、その会社の歴史が分かる」というが、全くその通りで「過去から積み上げてきた経営の結果」を表わしている。
 例えば、40年続いた会社の自己資本が2億円(資産5億-負債3億)だとしよう。これを一年に換算すれば、500万円(2億÷40年)となる。つまり、この会社は、途中で増資をしていない限り、40年間ずっと利益を出し続け、毎年500万円の内部留保をしてきたことになる。
 P・F・ドラッカーの次の言葉が思い出される。
 「経営的な進化とは、リスクを負う能力の増大であると定義できる」 ここでいう「リスクを負う能力」とは、内部留保すなわち自己資本のことであると考えている。つまり、リスクとは変化のことであり、その変化に適応できてこそ、経営的な進化がある。まさに、自己資本の充実とは、その会社の変化に対する適応力の大きさをいうのである。
 IGグループの「未来会計を経営に活かそう!」という提案の主旨は、まさに、この意味においてである。リスク計算を徹底しておこなうと、経営力が高まり、次のような効果が生まれてくる。
 ① 会社を絶対に潰さない仕組み
 ② 企業価値を高めることができる仕組み
 このために、まず重視すべきことは自己資本比率を高めることである。日本の企業は間接金融(銀行借入れ)に依存してきた歴史があるので、低いので知られている。これが20%以下であれば、いつ潰れてもおかしくないという人もいる。M&Aにおいても、「売れる会社、つまり魅力のある会社」とは自己資本の内容がいい会社である。
 量から質の時代である。"B/S"重視の経営が求められる・・・。 

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