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考える言葉

信念

2019年09月26日

 今回のテーマは、"信念"についてである。"考える言葉"シリーズにおいても、過去に何度ともなく取り上げ、思考したテーマである。

 辞書を引くと、"信念"とは「あることを強く信じて、何事にも動じることがない心」(類語大辞典)とある。様々な意思決定の拠りどころとしての正しい"信念"をどう培うか、経営者にとって永遠の課題であろう。

 今回、改めてこのテーマを選んだのは、ニーチェが"信念"について次のように語っているのに、気付いたからだ。

 「"信念"がある人というのはなんとなく偉いように思われているが、その人は、自分のかつての意見をずっと持っているだけであり、その時点から精神が止まってしまっている人なのだ。つまり、精神の怠惰が"信念"をつくっているというわけだ」(超訳「ニーチェの言葉」)。

 つまり、自分の意見や主張に凝り固まり、いつまでも拘っていると"信念"というものに変化してしまうのだという。ニーチェは、それを「怠惰から生まれる"信念"」だと喝破している。さすが、ニーチェである。新陳代謝をくり返してこそ、新たな成長もあるのだということであろう。

また、同じような意味合いからであろう、自分を画一化してしまうような「自分の哲学を持つな」と語っている。真摯に受け止めたいと思う。

 さて、ニーチェが喝破した「"信念"の罠」を十分に心に留めつつ、改めて経営者にとっての"信念"の価値について考えてみたい。

 小生が大事だと考えている"信念"とは、一念三千論でいう価値ある目的から生じる"信念"である。

 その信念の力とは現実を動かす変革力にある。つまり惰性的な日常的行動を是正し、目的実現への持続的で、ゆるぎない行動を呼び起こすところにある。しかも、この"信念"には周囲を巻き込んだ行動を引き起こすという。まさに、経営者にとって求められるリーダーシップのための"信念"だといえよう。

 IG会計グループが創業当初、35年前から掲げている「IG理念」は、小生の"信念"の源泉である。あらゆる判断の拠りどころとなっており、ゆるぎない行動の源泉である。

 経営理念は、時代の変化と共に、変えるべきなのか否かという議論がある。本来、普遍性の高いものであるから、変えるべきではないという意見が多い。

 ニーチェ曰く、「怠惰から生まれる信念」に陥りはしないか・・・。小生は、表現は変わらなくとも、成長と共に解釈の次元も変わり、新陳代謝できるのではないだろうか。

 (R元.9.23)

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