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考える言葉

会計期間

2020年07月29日

 "会計期間"とは、決算書の作成対象となる期間をいう。その"会計期間"に対して、ドラッカーは次のような指摘をしている。

 「今日の税制は、産業社会に時間単位として365日を強制することによって、不景気の年には設備投資をできないようにしている。業績が年を超えられないようになっており、決算期ごとに事業は再スタートする形になっている」と・・・。さすが、鋭い指摘である。

 なるほど確かに、節税対策と称してムダな経費を計上したり、不要不急な設備投資を計上したり、また、資金対策と称して粉飾をしたりして、一年という"会計期間"に振り回されている嫌いがある。

 "会計期間"は制度である。企業は、あらゆるステークホルダー(利害関係者)に対して情報開示する責任があるので、"会計期間"を定めて決算を行ない、営業成績や財務内容を報告しなければならないのである。

 これに対して経営は、ゴーイングコンサーン(継続企業の概念)という考え方を前提として、利潤を上げて社会的な役割を果たすために行うのである。そのためには、"会計期間"という制度に捉われて、目先の業績だけに振り回されないように心掛ける必要がある。

 そこでお勧めなのが、IG会計グループが長年取り組んできている「未来会計」という考え方である。これは、「意思決定会計」とも称し、経営者の意思決定をサポートするための会計である。故に、制度としての"会計期間"に捉われることなく、存続・発展と社会的役割という観点から、利潤を長期的に考えることができる。

 制度としての"会計期間"では、一年という期間で成果を考え、計算する必要がある。だが、経営としての"会計期間"はもっと中長期的な観点から3~5年、さらに10年というスパンで考える必要があるだろう。

 IGグループの『将軍の日』では、経営者が思い描く「理念(想い)、ミッション(行動)、ビジョン(結果)」を一日しっかりと考えるための時間を用意しており、スタッフがその想いに寄り添って一緒に考えさせて頂くようにしている。

 「あるべき姿-現状」のギャップ(=課題)を捉え、目標設定する。そして、中期経営計画をつくって、単年度の行動計画へと落とし込む。「仮説~実践~検証」の目標管理は、各年度の"会計期間"に基づいて実施するが、未来からの逆算思考が根本の考え方としてある。

 制度としての"会計期間"に振り回されない戦略的な思考が求められる時代である。

(R2.7.27)

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