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考える言葉

オープン

2020年08月04日

 創業当初から大事にしていたことの一つに、"オープン"がある。つまり、所内における情報開示の徹底である。

 何故かというと、パートナーシップ制に基づいた組織づくりをしたいと考えていたからである。メンバーの一人ひとりが、自らの頭で考え、行動し、責任を持つ主体性のある人材こそが、これからの時代環境において必要とされると感じたからである。

 まだ、駆け出しの頃の話で、担当している某顧問先に行った時の事である。そこの社長がカリカリしながら、「専務はじめうちの連中には、全く持って危機感がない」と言葉を投げ捨てた。

 「どうしたんですか」と尋ねると、月末の資金繰りに追われ、朝から数社の銀行廻りをして、頭を下げて戻ってきたら、専務が自分の机に座ってユタっと煙草を吸っていたという・・・。

 そのあと、専務にそれとなく聞いたら、「先生、何かあったんですか?朝からバタバタ出かけたと思ったら、戻ってきたらいきなり不機嫌・・・」と怪訝そうな顔をした。

 その専務は、社長が月末の手形を落とす資金がなく、資金調達で悪戦苦闘しているということを全く知らなかったのである。つまり、会社の財務状況は、専務はじめ社員たちには全く"オープン"にされてなかったのである。

 そのことを社長に話すと、「会社の経営状況を"オープン"にすると、みんな辞めていくだろう」という反応だった・・・。「なるほど、そんな懸念があったのか」とショックだったこと、今でも覚えている。

 どうしようもない過去の結果だけを"オープン"にすると、ネガティブ思考に陥るしかない。じゃぁ、今何を考え、行動するかで、どうにでもなる未来を"オープン"にしたらいいではないか・・・。

 その唯一の手段・方法が、経営計画の策定である。夢と志、未来を"オープン"にし、皆で共有できるシナリオづくりこそが、経営計画をつくる真の目的である。「明日のための行動」を明確に描き、"オープン"にする。まさに、ポジティブ思考がどんどん湧いて出てきそうな気分である。

 経営において"オープン"にすることの最大の効果は、問題意識の共有であろう。そして、そこから生まれる相互の責任観念が連帯意識を高めることになり、組織としての大きな成果に繋がるのである。

 "オープン"思考で、最も気をつけるべきことは、相手のプライベートな心の中に土足で踏み込むような行為であろう。真の"オープン"思考を磨き上げたいと思う。

(R2.8.3)

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