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考える言葉

人間関係

2015年09月28日

 『IG後継者育成塾(第4期第7講)』(H27.9.25~26 in福岡)を終えたばかりである。『リーダーで組織は生まれ変わる』というテーマに基づいて、二日間じっくりと経営の本質について考えて頂いた。
 組織の重力となるべきリーダー(後継者)にとって最大の課題は何か・・・?それは、何といっても"人間関係"を、どう構築するかであろう。しかし、"人間関係"で悩んでいる後継者は意外と多いのである。しかも、驚くべきことに、現社長である父親との意見の対立、そして古参幹部との"人間関係"がしっくり行かないという悩みが圧倒的に多いのである。
 "人間関係"における悩みの原因は、大きく二つあると考える。
 一つは、組織風土の問題。良い組織の成立条件が欠落しているのだ。理念・目的が明らかにされておらず、浸透していない。ゆえに、働く人間の貢献意欲を引き出し切れていない。その結果、"人間関係"に必要な良好なコミュニケーション機会が生まれていないのである。
 もう一つは、後継者の価値観レベルの問題。知識教育に偏っていて、価値観学習をしていないので、真の主体性が確立されておらず、自分にとって都合が悪いことはすべて環境のせいにしてしまい、"人間関係"を構築できないでいるのである。
 組織と個人という視点から原因を二つに分けてみたが、共通していえるのは、いずれも「何のために」という目的思考の欠落にある。仕事の目的を特定しないまま、手段ばかりに気が入ってしまっているので、お互いの関係性が見えず、よって主体性も発揮することもできないのである。
 "人間関係"が組織の生産性に大きく影響しているのは、ドラッカーの指摘するところでもある。
 「"人間関係"の能力をもつことによって、よい"人間関係"がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献を重視することによって、よい"人間関係"がもてる。こうして"人間関係"が生産的となる。生産的であることが、よい"人間関係"の唯一の定義である」(『経営者の条件』)。
 "人間関係"は、ハウツーやテクニックに左右されるのではない。仕事の場において、お互いがその目的を理解し、貢献し合う考え方を培うことによって生産的な場は生まれ、よい"人間関係"が生じるのだという・・・。  非生産的な場には、必ず"人間関係"の乱れがある。生産性は組織の存続に関わる問題である。"人間関係"の問題は、個人にだけ委ねるのではなく、組織全体の問題として考えるテーマだといえよう。

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