このページの先頭

トップページ > 考える言葉 > バックナンバー > 近視眼

考える言葉

近視眼

2014年12月09日

 安部政権は、衆議院を解散し、総選挙へ打って出た。
 「再増税ができないほど日本経済の足腰が弱いということは、アベノミクスの失敗を意味しているのではないか。財政再建という中長期的な目標を放棄し、"近視眼"的な人気取り政策を取ろうとしている」という手厳しい意見もある。
 それにも拘らず、自民党の圧勝?お国の大事に、結束できない野党にも"近視眼"的な思惑を感じてしまう・・・。
 "近視眼"とは、目先のことばかりにとらわれて、将来を見通す力がないことをいう。つまり、「先見の明」がないのである。未来を切り拓くために、体系的な変革が求められている今日にとって、"近視眼"的な考え方は致命傷になりかねない怖さがある。
 「人の振り見て我が振り直せ」という故事がある。"近視眼"は、私たち企業人にとっても然りである。
 マーケティング"近視眼(=Myopia)"という言葉がある。事業ドメインを設定する際に、本来望ましいとされるドメインよりも狭いドメインを選択したことにより、大きな環境の変化に対応できないといった問題が生じることだ。(鉄道会社の事例)
 目先の事象ばかりにとらわれて、自社が本来すべきマーケティング活動や社会的な使命を狭く解釈してしまっていないだろうか・・・。つねに、省みる必要がある。
 先週、Ja‐BIG主催の『人材の養成講座』(1泊2日)を「顧客の創造」というテーマで終えたばかりである。「顧客の創造」は経営の本質にかかわる問題であるから、"近視眼"的に議論されるべきものではない。ドメインの再構築という視点から、しっかりと考える必要がある。
 「誰に(市場)」「何を(商品・サービス)」「どのようにして(流通チャネル)」という顧客創造の基本構造は、それぞれの要素の相互依存の関係において成り立っていることを理解した上で、全体像を視野に入れて、中長期的に「売れる仕組み」を構想していくという発想が必要である。
 そのためには、次の考え方が大切になる。
 ① システム思考(つねに、全体と部分の関係性で考える)
 ② 目的思考(「目的は一つ、無限にある手段で争わず」。目的を共有し、協働意識で考える)
 ③ 未来思考(現状の問題からスタートするのではなく、あるべき姿からの逆算で考える)
 "近視眼"からは、新しい発想や選択は生まれないと考える。

このページの先頭へ戻る