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考える言葉

予測

2016年06月20日

 日経新聞に、思わず目を引くような、次の記事が載っていた。「中小企業 2030年消滅?~社長の年齢、14年後80歳前後に」・・・。
 要するに、経営者の中心年齢は2015年に66歳となり、この20年で19歳上がったという。円滑な事業承継や若者の起業が進まなければ30年には80歳前後に達するという"予測"である。
 過去のデータを分析し"予測"するという手法は、将来の成り行きや結果を前もって推し量るための常套の手段として用いられ、その有効性を発揮してきた。将来を的確に見通すことができれば、私たちは常に適切な意思決定ができ、行動することができるからだ。
 今日、この"予測"の手法が疑問視されている。その背景にあるのが、パラダイムシフトである。時代のパラダイムが大きな転換期を迎え、その変化のスピードも凄まじい中で、過去と未来がつながらない・・・。つまり、過去のデータを分析し、"予測"をしても当たらないのである。まさに今、問われている課題が、ここにある。
 では、このような環境の中で不確実な未来に対して、私たちはどのように対処していけばいいのだろうか?
 小生は、経営計画を策定するときに、「分析・"予測"型」を捨てて、「洞察・創造型」でつくることを提案している。なぜかというと、"予測"してもその通りにいかないのだから、時代の潮流(世の中の進化や顧客ニーズの変化など)を見極め、それらにどう適応するか、自らの意思で決断し、未来を創造していく覚悟である。
 今、経営者に求められているのは分析的な能力ではなく、時代を見抜く物の考え方、価値観のレベルである。その人の価値観のレベルが、その人の生き様を決め、経営理念の構築と浸透となり、組織文化を醸成していく。
 素晴らしい組織には、独自の経営観がある。そして、その経営観がベースとなって、未来のあるべき姿やビジョンを描き、未来を創造するエネルギーを醸し出しているのである。ゆえに、外部環境に左右されない志の強さを感じ取ることができる。(孫正義氏は、300年以上成長し続ける企業をイメージしているという・・・)
 確かに、冒頭の記事のように、放っておくと"予測"通りの厳しい未来となるであろう。だが、私たちには智慧もあり、勇気も持っている。あるべき姿と現状とのギャップ(=差)を明確に捉え、何をなすべきかを思考し、行動することこそが未来会計の真髄である。
 "予測"の罠に嵌らないように、創造する力を養おう。

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