企業生命力
2025年05月12日
朝から書棚の整理をしていると、『企業生命力(The Living Company)』(アリー・デ・グース著)という本に目が止まった。もう20数年前に購入した本である。
パラパラとめくってみると、至るところに赤線や書き込みがあり、当時に熟読した形跡がある。
著者・アーリーがロイヤル・ダッチ・シェルに勤務していたときに、長寿企業について調査した成果をもとに書かれた書物である。
本書の核心は、起業を生き物と考えてみたらどうなるのかという視点から、長寿企業の"企業生命力"ついて研究し、熟慮されたものである。
数百年永続する企業とは、どんな企業だろうか。綿密な研究の結果、当該企業の成功原因に、次の4つの主要な共通要素が発見できたという。
(1) 長寿企業は、環境に敏感である
経営環境との調和を維持する。常に触覚を鋭敏に働かせ、周辺の動きに合わせて行動を起こす。変化と適応に対して強烈な意欲を持ち、その意志を強力に貫く姿勢がある。
(2) 長寿企業は、強い結束力があり、また強力な独自性が見られる。
いかに多角化が進んでも、従業員は会社と一心同体。強固な団結。組織全体の健康状態を最優先する。
(3) 長寿企業は、寛大である
「権力の分散化」を図り、できるだけ干渉をせず、活動面で大幅な自由度が認められていた。
(4) 資金調達で保守的である
慎ましく倹約し、むやみに資本をリスクに晒さない。余分なカネはタンスにしまっておく習慣があった。手元に現金があれば行動に制約されることなく、柔軟性と独立性が維持できると考えていた。無駄を省き、内部留保を高める。
絶えざる変化の波にもまれながらも長期間にわたって存続する企業とは、変化に対するマネジメントの達人をトップに据える企業に他ならない。
組織は、機械ではなく、学習して成長し続ける生命体のようなものだと捉えて、「学習する組織」という言葉を生み出しだのは、アーリーである。
私たちは今、変化の激しい時代環境の中に生きている。その変化にどう適応し、存続発展していくか。
そのためには、上記の長寿企業としての"企業生命力"に関して、明確な意識を持って経営に取り組む必要がある、と改めて思う。
"考える言葉"シリーズ(25-15)