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考える言葉

課題抽出

2014年11月04日

 毎月、IGグループでは月末から二日間かけて全体会議を実施している。
 「仮説~実践~検証」という経営サイクルの月次における遂行の場であり、もう20年以上続けている「IG式目標管理」の習慣である。自ら掲げた目標の進捗状況を自己チェックし、その結果を次月の行動へフィードバックするための場であり、一堂に会し、意見交換をし合い、衆知を集める場でもある。
 さて、「IG式目標管理」の目的は、主体的な人材の育成にある。主体性とは、自らの選択と責任で物事を考え、行動し、自らが拘る環境に影響力を与えることができる存在をいう。
 「価値ある目的を鮮明に描く。そして信念を培い、揺るぎない行動力を養う」、この基本ラインを徹底することによって、真の主体性が確立できると確信している。マービン・バウワーは、「意志あるところ道あり」と語ったが、まさにそうである。主体性、すなわち経営の意志こそがすべてにおいて成功のカギとなる。
 主体性確立の基本ラインを形成するプロセスで最も重要な要素の一つが"課題抽出"である。"課題抽出"とは、自らの目標を明確化し、その目標達成の課題となる項目を抽出するフェーズをいう。
 IGグループでは、その企業版のサービスをMAS監査と呼んでいる。経営計画策定のプロセスで、経営方針、事業特性、企業体質、経営資源(ヒト・モノ・カネ)などを整理し見直すことによって、「抽出された課題をどのように解決していくか」のシナリオをつくり、実践可能性を確認したうえで、意思決定をフォローしていくのである。
 日頃から「マネジメントの質は、目標設定で決まる」と語っているが、「仮説~実践~検証」という経営サイクルの要となるのが"課題抽出"のフェーズであると断言してもいいだろう。
 「決算書は情報という宝の山である」といわれているが、職業会計人と呼ばれる人たちは数字のプロであるから決算書から課題を抽出し、何から手掛けるべきか優先順位をつけることができる。
 プロの経営者は、課題の抽出がうまい。彼らは、自らが身を置いている現場の変化に目聡いのである。つねに事業機会溢れるチャレンジゾーンに視点を置いて考えているのであろう。
 稲盛和夫さんは、「会計が分からんで、経営ができるのか」という名言を述べているが、まさに会計と経営が車の両輪として機能している組織では、経営サイクルの要である"課題抽出"の質が良くなることは請け合いである。

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