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考える言葉

トレードオフ

2014年11月17日

 先週末(14~15日)、IG後継者育成塾(第4期②)を終えたところである。「後継者の仕事とは何か?(役割、課題、責任)」について、各人にしっかりと考え抜いてもらい、グループ討議してもらった。
 経営者とは、つねに問題を抱えている人である。「自らが率いる組織で生じる問題は、すべて自分の問題である」という当事者意識がもっとも強いから当然である。言葉を変えていうと、問題解決のプロであり、そうあるべきだと考える。
 さて、経営の意思決定には、必ず"トレードオフ"(Trade‐off)が生じる。何かを達成するためには別の何かを犠牲にしなければならない関係のことである。「あちらを立てれば、こちらが立たぬ」という問題だ。
 "トレードオフ"、二律背反性あるいはパラドックスと、どう向き合えばいいのか? この事は、経営者にとって永遠の課題であり、その自覚をもっておく必要がある。
 例えば、リーダーが備えておくべき、次の特性についても然りである。
 ① 「自信」と「謙虚さ」
 新たなることへチャレンジしようとするとき、自らを鼓舞し、他を導くためには、「自信」は欠くべからざる条件である。ただし、「謙虚さ」を欠いた「自信」は過信につながり、他人の助言に耳を傾けなくなってしまう。
 ② 仕事への「情熱」と「偏り」
 組織を動かし、他人をその気にさせるには、仕事への「情熱」が大切である。熱意と信念だけは、他に譲るわけにはいかない。ただしこれも、「偏り」あるいは「偏見」の罠に嵌ってしまい、自分の殻を突き破るような発想ができなくなってしまう。
 ③ 「人好き」と「孤独」
 リーダーは「人好き」である。人を嫌い、厄介がるような人に付き従うものは誰もいない。ただし一方において、リーダーは孤高の人でもある。誰にも相談できないような問題を抱えてしまうこと、すべての責任を背負う覚悟、どんなに非難・中傷されようが決断をせざるを得ない状況だってある。ゆえに、「孤独でいられる器」に裏打ちされていなければならない。
 このような状況、"トレードオフ"の問題を解決する方法は、一つである。思考の次元を変えるしかない。つまり、「分離の思考」(全体を部分に分けて考え、二者択一に陥ってしまう考え方)から「統合の思考」(全体と部分を統合し、二項共存の関係で捉える考え方)へと価値観を転換させるしかない。
 後継者の課題は、自らの価値観を磨き続けることではないだろうか・・・。

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