
価値共創
2025年11月25日
『価値共創の未来へ~顧客と企業のCo‐Creation』(C・K・プラハラート&ベンカト・
ラマスワミ 著)という著書がある。もう20数年前に出版された書物であるが、再読している。
従来の常識、企業が価値を創造してそれを消費者に売るという発想に疑問を投げかけ、今後は、消費者が企業ととともに価値を共創するという傾向が強まっていくという見通しを述べたものだ。
その当時、"価値共創"という新しいパラダイムに共感・共鳴し、何度も読み直したことを今でも記憶している。
著者は、新しい「事業機会に溢れるゾーン」へと移行するためには、慣れ親しんだ「快適ゾーン」の限界を認識し、行動するしかないと呼びかけている。
そして、共創を支えるものとして、次の4つの要素(DART)を紹介しているので、詳しく見てみたい。
① 対話(Dialogue)
対話とは当事者同士が深く関わり合いながら、行動へ向けて意見を交わすことである。顧客と対等な立場で問題解決に当たり、コミュニケーションを図りながら共に学習することも求められる。その結果、忠誠心で結ばれたコミュニケーションが生まれる。
② 利用(Access)
従来は、企業の関心は、製品を販売する(所有権を移す)という活動を柱として成り立っていた。しかし消費者は、モノを購入するのではなく、利用をとおして、多彩なライフスタイルを経験したいと望んでいる。「所有から利用へ」という流れが、新たな事業機会を生み出している。
③ リスク評価(Risk assessment)
消費者は「情報、ツール、選択の自由を与えてほしい」と声を上げているが、「自分
の選択には自分で責任を負う」という覚悟があるとは限らない。その意味においてもリスク管理は他社との違いを際立たせる機会でもある。
④ 透明性(Transparency)
従来は、企業が消費者よりも圧倒的に多くの情報を持ち、それによって恩恵を受け
てきた。このような不公平は急速に解消に向かっている。製品、技術、事業体制などに関して、かつてない高い透明性を実現することが望まれている。
以上、DARTを通して、企業は消費者との協働を進めやすくなる。魅力的な共創経験を実現できるかどうかが、両者にとって非常に重要な要素となっていくのだ。
企業にとって、"価値共創"は極めて重要な戦略的な要素となっていくだろう。
"考える言葉"シリーズ(25-43)











