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考える言葉

迷い

2025年05月20日

中西輝政氏は、"迷い"について次のようなことを述べている。

 「人間は、つねに相反する二つのものを持ち、自分に問いかけていくべき存在だ。その中で悩み、惑い、試行錯誤することこそ、考えを広げ、深める訓練の場になる」

(『本質を見抜く考え方』)

 自分の中に二つの「相反するもの」を持ち、つねに自分に問いかける部分を持っておくべきだという。つまり、行動に移るまでに、絶えず自分に「そうじゃないのでは?」と問いかけるもう一人の自分がいないと、大切なものを全部失ってしまう危険があるのだと言う。 さらに、氏の一言!

 「迷っている状態というのは"将来への投資"である!」と。

 つまり、「"迷い"は、本当の学びであり、自分を豊かにするものだ。迷ったときこそ大事なとき。迷ったときこそ収穫のとき。迷えば迷うほど、思考は深まる」のだと。

 この本と出逢ったのは、還暦を迎えたころ・・・。人生、節目の年で、今後の人生を考えていた頃だったので、すごく勇気をもらったことを今でも覚えている。その後も何度も読み直した書物の一つである。

 もう一つ、"迷い"と言えば、松下幸之助氏の次の言葉にも勇気づけてもらったことを思い出す。

 「今はまだ迷ったらいい。"迷い"に迷って、骨と皮になるというくらいに迷っていてもいいわけや。次々にサラサラとうまくいくと、苦労のしがいがないものや。迷えば迷うほどに偉大なものが生まれる」と。

 さらに、次の一言をつけ加えるところが幸之助氏らしい。

 「迷わないでいいことも、迷っていないか。素直な心で、自分に、問いただしてみること」だと。

 以上が、二賢人の"迷い"に関する見識である。

 「迷っている状態というのは"将来への投資"である!」(中西氏)、「迷えば迷うほど偉大なものが生まれる」(松下氏)・・・。この"迷い"に対する、お二人の肯定的な捉え方に共感し、感服する。

 座右の書とも言うべきだろう。考えて見ると、両氏の書物、そしてピーター・ドラッカーの書物はいつも目につき、手が届くところに並べている。そして何度ともなく、読み直した形跡がはっきりと残っている。

 いずれの書物も、読めば読むほど考えさせられる、つまり、価値ある"迷い"に導いてくれる機会を与えてくれる書物である。

 そう考えると、"迷い"一つにしても、本当に「人生は心一つの置きどころ」である。

 

                                                              "考える言葉"シリーズ(25-16)

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