トランプ関税
2025年04月30日
トランプ大統領が発した、"トランプ関税"が世界経済を揺るがしている。どんな影響・問題があるのか、考えてみたい。
関税とは、一般に「輸入品に課される税」として定義されている。そして、その関税の目的は、次の二つにある。
- 国のお金を増やす
外国から輸入されるものに関税をかけることで国にお金が入る。国(政府)の収入が増えるので、そのお金を使って国の経済をよくするために使おうという目的がある。
- 国の産業を守る
外国から物を輸入するときに政府からお金を取られる。つまり輸入する企業や個人にとってはお金をたくさん払わないとその国にモノを入れられないということになる。
今回の"トランプ関税"政策で得をするのは、主としてアメリカ国内の製造業者や鉄鋼・アルミ産業だという記事があった。関税をかけることで、外国製品よりアメリカ製品が有利になり、国内の雇用や生産が守られる、という仕組みである。
まず、一般的には米国の関税引き上げにより、輸入物価の上昇による価格転嫁からインフレが起こり、インフレ懸念から長期金利が上昇するというのが基本的なロジックである。関税政策だけに着目すると、企業にとって、輸入価格の高騰と長期金利の上昇による資金調達の制限からデメリットのほうが多く見られる。
さて、"トランプ関税対策"として、政府が行う国内産業や国民生活に対する総合対策案として、次のようなことを掲げている。
企業に資金繰りや雇用維持への支援などが柱になる。
「緊急対策パッケージ」
① 相談体制の整備
② 企業の資金繰り支援の強化
③ 雇用維持と人材育成
④ 国内消費の喚起
⑤ 産業構造の転換と競争力強化
企業支援については、5月以降、中小企業向けの融資について金利引き下げの対象を広げることを検討すること、「雇用調整助成金」の支給要件の緩和を検討すること、納税猶予すること、などが含まれているようだ。
いずれにしても、今回の"トランプ関税"は前例にない動向である。それによって、世界及び国内の経済がどう動いていくのか、予断を許さない状況にあると言えよう。
あらゆるセーフティネットへの情報をしっかりと得る心構えが必要であろう。
"考える言葉"シリーズ(25-14)